ろうし《らうし》 【老子】 ◇[中]Laozi、[英]Lao-tse/Lao-tzu ○(1)[人](多分に伝説的な)中国、春秋戦国時代の思想家・道 家(ドウカ)の祖(BC. 406〜BC. 531)。姓は李(Li)(リ)、名は耳(Er) (ジ)、字(アザナ)はタン(「耳」偏+「冉」)(Dan)。一説に字は伯陽 (Boyang)(ハクヨウ)、諡(オクリナ)がタン。楚(Chu)(ソ)の苦県(Ku Xian) (コケン)厲郷(Li Xiang)曲仁里(Quren Li)(河南省鹿邑県)の人。 周(Zhou)(シュウ)に仕えて守蔵室(図書館)の史(書記官)になっ たといわれる。周室の衰えを嘆いて隠棲(インセイ)を志し、西方の 関(函谷関または散関)を過ぎようとした時、関守の尹喜(Yin Xi)(イン・キ)に請われて、『老子』二巻を著したという。 荘子(Zhuangzi)(ソウシ)がその学を継承し、「老荘(Lao-zhuang) (ロウソウ)」と併称される。 ◎生れながらの白髪という。 孔子に隠の道を教えた隠君子(yinjunzi)(インクンシ)ともいう。 唐の高宗(Gao Zong)からは「玄元皇帝(Xuanyuan Huangdi)(玄 玄皇帝)」の尊号を贈られた。 また、神格化して「太上老君(タイジョウロウクン)」とも呼ぶ。 ◎孔子問礼於老子:孔子、老子に礼を問(ト)ふ。 ○(2)老子の著書と伝えられる道家の経典。二巻、八十一章。 約5千字。 無為自然(ムイシゼン)の道を説く。 上編が道、下編が徳の字で始まるので『道徳経』・『老子道 徳経』とも呼ぶ。 ◎編纂は孟子以後の手に成る部分が少なくないと考えられるが、 前漢初には現行本に近いものが成立し、後漢末に道教が成立し ている。 ◎「おいご(老子)」とも読む。 |