ちあんいじほう《ちあんゐぢはふ》 【治安維持法】 ○[歴][法]1925. 4.22(大正14)公布された思想・結社の弾圧法 規。 国体の変革・私有財産制度の否認を目的とする結社活動およ び個人的行為に対する処罰を内容とする法律。 参照⇒よこはまじけん(横浜事件) 〈制定〉 第一次世界大戦後の社会主義運動・農民運動・労働運動の発 展に対処し、反体制運動(主として共産主義運動)の弾圧を目的 に制定。 第1次加藤高明内閣(護憲三派内閣)が立案し、1925. 3.(大 正14)普通選挙法と同時に制定・公布。「国体ヲ変革シ、私有財 産制度ヲ否認セントスル」結社・運動を厳禁し、違反者には懲 役10年以下の刑を科した。 参照⇒ふつうせんきょほう(普通選挙法) 〈改訂など〉 田中義一内閣は改正案の議会承認を経ずに緊急勅令のかたち で1928. 6.29(昭和 3)改正を公布、即日施行。同年の三・一五 事件で日本共産党に対する大量検挙に従い、刑をきびしくする ように改訂され、死刑が付加された。 1936. 5.29(昭和11)思想犯保護観察法、公布。 1941. 3.10(昭和16)予防拘禁が追加された改正治安維持法が 公布。反政府・反軍部に拡大解釈されて適用された。 参照⇒しそうはんほごかんさつほう(思想犯保護観察法),よ ぼうこうきん(予防拘禁),とくべつこうとうけいさつ(特別高等 警察) 〈廃止〉 GHQの司令により、1945.10.15(昭和20)勅令575号が公布 施行されて廃止。 ◎治安維持法以前には、1922(大正11)議会に提出された過激社 会運動取締法案や1923(大正12)関東大震災直後に緊急勅令とし て公布された治安維持令などがある。 参照⇒ちあんけいさつほう(治安警察法),ちあんいじれい(治 安維持令) |